ニューロマーケティングとは?
その商品を購入しようと思ったのはなぜでしょうか?
すごいお金持ちじゃなくても高額なものを購入することはありますし、あまたあるブランドの中でどうしてそのブランドが魅力的に見えるのでしょうか。
私たちが何かを購入するとき、何が消費者の態度と行動を促進するのかを理解したいと思ったときに、今までのマーケティング方法以上のものが必要になります。
商品について集団で考えを自由に発言してもらうフォーカスグループやアンケートなどの従来のマーケティングツールでは、消費者が意識的に好みを明確に表現しているのにもかかわらず、本当の理由の大部分は潜在意識で発生しています。
それがわかれば企業から消費者へのアプローチはもっと的確にできるようになります。
そこでニューロマーケティングの出番です。
ニューロマーケティングを使用した分析結果は成果が高いと考えている専門家と企業は増えています。
ですが、ニューロマーケティングはまだ最近の分野であり、それが何であって、どのように適用されて、どのように貢献されるのか、まだ知らないという人も多いのが現状です。
ニューロマーケティングとは何ですか?
社会のデジタル化が進み、企業の戦略、特に企業と顧客の関係を大きく変えました。
消費者の目はますます厳しくなり、インターネットは消費者の要求を大きく広げる拡声器となっています。
消費者の声に耳を傾けず、ニーズ、希望、期待を満足させることができない企業は、消滅する運命にあります。
ただし、消費者の行動と顧客の決定を理解することは簡単な作業ではありません。
これらのニーズ、希望、期待の多くは無意識に生成され、消費者自身でさえもそれらを言語化することはできません。
実際、神経科学は「この製品が好きですか?」という質問に対する回答は必ずしも正しい答えではないことを証明し、「感情、経験則から持たらされる発見などの側面が新しい意思決定モデルに大きな影響を与える」ことを実証しています。
ニューロマーケティングは消費者が何に反応するのか、パッケージングの色、箱を振ったときに鳴る音、他の人が持っていないという考えなど、動機、好み、意思決定に関する消費者の行動の根底にある無意識の反応を掘り下げる分野と技術として、注目されているのです。
日本ではあまり比較広告は多くありませんが代表的なものにペプシチャレンジというものがあります。
目隠しをした被験者の前にペプシとコカ・コーラの入ったコップを渡して飲み比べてもらうというものです。
この広告ではコカ・コーラよりペプシの方が美味しいと選んだ被験者の方が多かったわけですがそれならばなぜコーラ市場はペプシに支配されていないのでしょうか。
そこで被験者にMRIを装着してもらい、脳の活動を追跡する実験を行いました。
すると最初はペプシチャレンジ同様、被験者の約半数がペプシを好むと答えましたが、その後どのサンプルがコカ・コーラかを教えるとコカ・コーラを支持する被験者が増え3対1にシフトしました。
これによって消費者がコーラを選ぶ動機は味だけではないことがわかったのです。
次に価格の異なる3つのワインを飲み比べてもらう実験を行うとさらに興味深い結果が出ました。
実際は同じワインに3つの価格を設定し、あらかじめ被験者に価格を教えてから試飲させると、被験者は3つのワインを別々の味として認識したのです。
実験で消費者は価格を見ると精神的価値が変わる可能性があることが明らかになりました。
ニューロマーケティングのツール
脳をスキャンするための2つの主要なツールは、fMRIとEEGです。
前者(機能的磁気共鳴画像法)は、強力な磁場を使用して脳全体の血流の変化を追跡し、時間の経過とともに連続測定を行う機械の中に人が横たわっている間に測定されます。
EEG(脳波)は、被験者の頭皮に配置されたセンサーを使用して脳細胞の活動を読み取ります。
ほんの一瞬で活動の変化を追跡できますが、活動の発生場所を正確に特定したり、脳の皮質下の深い領域で測定したりすることはできません。
fMRIは脳の奥深くまで覗き込むことができますが、手間がかかり、数秒間の活動のみを追跡するのに加え、なによりEEG で200万円、fMRI は5億程もかかる高額なシステムです。
そこまでの高額を投資しなくともより手頃な価格で使いやすい脳活動を測定するアイトラッキング技術というものもあります。
アイトラッキング(視線追跡)とは、視線や瞳孔の拡張を測定することができるものです。
表情、顔の筋肉の微小な動きを読み取り、感情的な反応を測定するのと、心拍数、呼吸数、および皮膚伝導率を測定することで被験者の考えを読みます。
お気づきでしょうか。そう、ウソ発見器と同じ原理です。
「すべての質問に【いいえ】で答えてください」と伝え質問をし、質問に答えた時の微小な筋肉の動きや瞳孔の拡張、手のひらの汗などでウソを見破るというあれです。
映画や漫画などで誰しも一度は見たことがあるのではないでしょうか。あのシステムをさらに強化したものがマーケティングに使われているのです。
ニューロマーケティングの実用性
どのような方法で、何を知るかが大まかにわかってきたところで、どれほど役に立つ情報がわかるのか、その情報をどのように生かすのか、実際に行われている魅力的な例をご紹介します。
1. ニューロマーケティング視線の重要性
以前より人物が写っている広告は、そうでない広告に比べて効果的であるということは知られています。
特に赤ちゃんを含む映像は効果的で、企業は赤ちゃんの顔を大きく映した広告でベビー用品の売り上げを伸ばそうと試みてきましたがアイトラッキング技術の力を借りてこれだけでは十分ではないことがわかりました。
研究者は赤ちゃんが顔を正面に向けると視聴者は赤ちゃんの顔に特に焦点を合わせ、一緒に映っている商品からは視線を外すことがわかりました。
しかし赤ちゃんが商品を見ると、視聴者は赤ちゃんの視線の先にある商品に集中することを発見したのです。
2. ニューロマーケティング効果的なパッケージ
ジャケ買い、表紙買いという言葉があるように、私たちは印象的で魅力的なパッケージに惹かれる感覚を持っていることをすでに知っています。
広告主も内容物が必ずしも重要であるとは限らないことは知っていましたがニューロマーケティングを使うことでこれをさらに新しいレベルに引き上げました。
ある実験で被験者にパッケージの色、文字、画像に関して「好き」「嫌い」「普通」の回答をしてもらいました。
この調査により被験者は光沢のある包装に対して否定的な反応が多かったのに対し、つや消しの包装に対しては否定的な反応をしめさなかったことが明らかとなりました。
この調査結果を経て、商品のパッケージをマット素材に変更したことで売り上げを上げた企業もあります。
3. ニューロマーケティング色は大切
色がさまざまな感情を呼び起こすことができることは色彩心理学として広く知られています。
一般的なところで寒さや冷たさを感じさせる青系の「寒色」と、暖かさを感じさせる赤や黄などの「暖色」です。
同じ系統の色の中でも彩度が高い色は「興奮色」、明度が高い色は「軽い」彩度が低く、明度が高いと「柔らかい」など、様々あります。
そんな難しいことではなく色から感じるイメージというものは誰もが常にそうとは思わず感じていることでしょう。
たとえばピンクなら可愛い、黄色なら楽しい、青ならクールなどなど無意識にイメージしているはずです。
特定の色をイメージカラーとして使用する企業はたくさんあります。
「コーラと言って何色を思い浮かべますか」という質問にコカ・コーラのイメージカラーである「赤」を思い浮かべる人は決して少なくありません。
4. ニューロマーケティング選択肢が多すぎると選べない
私たちは常にたくさんの商品の中から欲しいものを選んでいます。
しかし調査によって選択肢が多くなりすぎると消費者は購買の意思が抑止されることがわかりました。
5種類のジャムから欲しいものを1つ選ぶことは容易いものの、50種類のジャムから1つを選ぶとなると感覚がマヒしてしまい選ぶのが困難となるのです。
大勢の顧客の要望を叶えようと100種の選択肢を与えるよりも限られた数の中からその中で選んでもらう方が購買数は高いのです。
5. ニューロマーケティングオマケの効果
消費者が購買行動をとるとき、その意思決定に商品そのもの以外につくオマケのオプションに心が動くことは誰しも経験していると思います。
オマケを目当てに商品を購入する例もあるくらいこれはとても有効です。
オマケは豪華である必要はありません。
実験では価格が同じ2つのホテルの部屋を比較しているとき、朝の無料コーヒーサービスがついているホテルの方がついていないホテルよりも選ばれる可能性が高いことがわかりました。
選んだ時の心境を詳しく見ていくと客室の品質や機能を見ることなく無料のコーヒーサービスがある方が得だ、というだけで選んでしまうことがある。
という実験結果が出たのです。
6. ニューロマーケティング言えなかったこともわかる
以前からあるマーケティング方法にフォーカスグループがあります。
対象物を見てもらい、集まった人々に自由に発言してもらうことで顧客の求めているものを検出するというものですが、ある実験で人にいたずらを仕掛ける内容の広告を見せグループに意見を求めると、広告に対してグループは嫌悪感を報告しましたが、同じメンバーにニューロマーケティングを用いて同じ実験をしたところ、フォーカスグループの参加者は「他のメンバーが不快に思うのではないか?」と考えユーモアのある面白い広告だと思ったことを発言することを恐れていたことが分かりました。
このようにニューロマーケティングは周りを気にして言えなかったような隠れた考えや好みまで明らかにすることができます。
7. ニューロマーケティング飴とムチ
多くの人が熱中するゲームにもニューロマーケティングが生かされています。
面白いゲームを人々に長くプレイしてもらうために企業は飴とムチを用意しています。
ログインボーナスなどのようにゲーム内でもらえる報酬を通常より増やすことで愛着を高めさせることは効果的でしょう。
消費者が製品に興味を持ってもらうようにするだけでなく、長く遊んでもらうためにも次々とイベントや報酬を用意しているのです。
そしてムチはゲームオーバー。
簡単にはクリアさせない難易度設定。
これらをバランスよく配置することでユーザーはよりゲームに熱中します。
8. ニューロマーケティングわずかの値引きが効果大?
消費者が思わず購入してしまう価格の設定として有名なところでは100円ではなく98円の価格設定が購買意欲を高めるために効果的であるとは今や当たり前のこととなっていますが、2円の差が大切なのでしょうか。
確かに少しでも安ければ消費者としては嬉しいでしょう。
ですがニューロマーケティングによるとそれだけではなく、金額そのものに加えて値段を表示する数字の形が購入時の意思決定に機能することがわかりました。
角ばった数字よりも、丸みをおびた数字の方が購買数が上がるというものです。
商品を購入しようとしたとき、消費者はその商品がその値段に見合うか考えています。
難しいことを考えている脳に対して、丸みを帯びてさらに100円などの切りの良い数字ではなく、複雑となった価格表示になることでより製品の価値を高めるとわかりました。
また、価格の並びによっても消費者の購買意欲は変化します。
1000円、1300円、1500円と並んでいる商品では「1500円は高いかな…」と思われるのに対して、1500円、1800円、2000円と並んでいる場合「おっ1500円か、いいじゃん!」となるのです。
9. ニューロマーケティングサイトのレイアウト
ウェブサイトの設計にもニューロマーケティングが採用されています。
色、レイアウト、フォントサイズなどから閲覧者が好む設定を採用し顧客を引き付ける工夫をしています。
スタイルでは一画面ですべて見えるページよりもランディングページでよく見られるような縦に長いページの方が閲覧者がスクロールし続ける可能性が高く、効果があることがわかっています。
購入を促すページへ移動させる際は画面内を似たような色で統一してクリックしてほしいリンクだけ派手な色にすることで閲覧者の視線を誘導することができるとアイトラッキング技術により判明しました。
このようにニューロマーケティングは私たちが感覚で行ってきた行動に明確な意味と答えを教えてくれます。
ニューロマーケティングを使用した分析結果は成果が高いと考えている専門家と企業は増えています。 ですが、ニューロマーケティングはまだ最近の分野であり、それが何であって、どのように適用されて、どのように貢献されるのか、まだ知らないという人も多いのが現状です。
頭一つ抜けたマーケティングとなります。
を伝授していきます。
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