セールスとマーケティングの違いとは
突然ですがあなたはセールスとマーケティングの違いを答えられるでしょうか
なんとなく言葉は知っているけれども、その違いはわからないという人も多いのではないでしょうか。
マーケティング部門に属していた私も入社した当初はその違いがわからずにいました。マーケティングとセールスは考え方も、行動原理も全く違います。今回は未経験からマーケティング会社に就職し、3年働いた私がマーケティングとセールスの違いを説明していきたいと思います。
マーケティング=売れる仕組みづくり
さてまずはマーケティングについて説明して行きます。マーケティングとは簡単にいうと「商品が売れる仕組みづくり」です。マーケティングに関して魅力的な広告を作り、印象に残る宣伝を流し、人々に商品について認知させることというイメージを持っている人もいると思いますが、近年マーケティングに求められている役割は拡大しています。マーケティングの定義をWikipediaで確認してみましょう。
「マーケティング(英: marketing)とは、企業や非営利組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得られるようにする活動」の全てを表す概念である。(by ウィキペディア)」
この定義で重要な観点は、視点が最初から最後まで顧客にあるという事です。顧客が抱えている悩みを分析して、顧客が情報を得やすいような販促をして、さらに顧客が求めるアフターサービスをどのようにするのかという事を考えるのがマーケティングの役割と言えます。
恋愛におけるマーケティングとは
マーケティングの説明はどうしても堅苦しくて読む気が失せてしまう人も多いと思います。
そこでマーケティングを今度は恋愛で説明したいと思います。
急に恋愛の話が出てきて驚かれる人もいると思うのですが、マーケティングと恋愛は実は考え方が似ているのです。
職場に同性しかいないけど、彼女(彼氏)が欲しいと思った時あなたはまずどのような事を行うでしょうか。
まずはじめに行うことは出会いの場を探すことですよね。
例えば何か新たなコミュニティに参加してみるとか、あるいは知り合いの女性に連絡をしてみるとか、最近ではマッチングサービスなど出会いの場はたくさんあります。
その中から今の自分に合っている方法を探し参加する場所を決めます。
このどのフィールドで恋愛をするのかという意思決定は、まさしく企業のマーケティングでどの商品を売るのかを決めることと類似しています。
男しかいないサークルに入っても出会いはないし、脈のなさそうな人に連絡しても返事は返ってこないかもしれません。
まずはどのフィールドで戦うのかを決めなければなりません。
そして場所を決めたら、次に必要なことはそのコミュニティにどのような女性がいるのかということの調査です。
例えば落ち着いた雰囲気の人が多いコミュニティーであれば、あまり派手な言動やファッションは控えた方が良いと言えます。
さらに所属している異性の年齢や性格など最低限の情報を知らなければアクションが起こせません。恋愛においても市場調査が必要なのです。
そして情報を得ることができたら、その中からどの人にアプローチをするのかを決める必要があります。すでにパートナーがいる人は勿論対象から外すべきだし、性格も自分に合った人を選ぶ必要があります。
このように恋愛においても商品を作る場合と同じように、成功させるためには綿密な調査と計画が必要なのです。
セールス=商品を売る事
さて反対にセールスとはどのような活動を指すのでしょうか。
マーケティングの役割を一言で説明するのならば、「商品が売れる仕組みづくり」でした。
セールスの役割を簡単に説明するのならば、「商品を売る事」です。マーケティングで顧客目線で販促を行なったとしてもそれだけでは制約には繋がりません。
あくまでもマーケティングは顧客が求めている商品を作り販促する事です。
それに対して、セールスはその計画をもとに顧客のもとに伺い、ヒアリングし不安を解決して制約をとることが役割です。
一般的に営業職と言われている仕事ですね。
このようにマーケティングは顧客が何を求めているのかという市場調査から企画立案、そして宣伝と販売戦略まで一貫して行い、セールスはその中の制約に関する部分を請け負っています。
恋愛におけるセールスとは
さて恋愛におけるセールスとはどのような事を指すのでしょうか。
恋愛におけるセールスのプロセスは、実際に意中の女性と会い相手の好感を高めることです。
優れたセールスマンはなぜ他と比べて、制約を多く取ることができるのでしょうか。
それは相手の心に寄り添った気遣いだけでなく、時には魅力を伝える強さや魅力があるからです。
同じように、恋愛においてもただ単に相手を優しく気遣うだけでは、相手からの好意は得ることができません。
デートプランをしっかりと考える決断力や、提案力、そして相手をエスコートする自信も必要です。
このようにどのフィールドで誰をデートに誘うのかという事を考えるのが、マーケティングであり実際に相手と信頼を結んでいく事がセールスであると言えます。
マーケティングはセールス以前より始まっている
マーケティングは商品立案から販売まで全ての工程に関わっているのに対して、セールスはその中の制約という部分にフォーカスした仕事であると言えます。
マーケティングとセールスはどちらも大切ですが、マーケティングに失敗するとその商品全てに影響が出てきます。
かの有名なドラッカーは良いマーケティングはセールスを不要にすると述べました。
こちらから売り込まなくても、相手から自社の商品を求めてきてくれる状態がマーケティングの理想です。
マーケティングは商品開発の初期段階から関わるため、もしもマーケティングに失敗するとセールスを含めた全ての経営活動にリスクが生じてしまいます。
マーケティングは特に経営にとって重要な要素だと言えます。
セールスの役割を最小化したキーエンス
良いマーケティングはセールスを不要にするというドラッカーの言葉を紹介しましたが、キーエンスはまさしく優れたマーケティングでセールスを最小限に抑えた企業であると言えます。
キーエンスとは東証一部上場、従業員数3000名。センサー関係を中心に、ファクトリー・オートメーション機器を製造販売しています。
自動車、半導体、電子・電気機器をはじめ、製造業のあらゆる分野で10万社以上の顧客を持つ大企業です。
キーエンスは営業利益率55パーセント、さらに日本の年収ランキングでも毎年上位にランクインする有名企業です。
そんなキーエンスはどうして営業利益率55パーセントという異常な数値を出せているのでしょうか。それはセールスを自動化するマーケティングの仕組みづくりにあります。
セールスを自動化するキーエンスのマーケティング① Webサイトの質の高さ
キーエンスのセールスの自動化を支える1つ目の要素はWebサイトの質の高さです。
キーエンスのホームページはとにかく見た目にもわかりやすく、さらに親近感を覚えるような言葉選びを使いより身近に感じられるデザインにしています。
キーエンスのホームページにいくとまず飛び込んでくるのは、注目してほしい商品がどんどん目に飛び込んでくるフラッシュを使った分類です。
キーエンスが取り扱っている商材は多くて掴みにくい。しかし、このように一番注目してほしい技術や、商品をフラッシュで見た目にもわかりやすく訴求していることで、初めて訪問した人にも分かりやすく魅力を伝えることができています。
そしてもう1つが、シンプルなグローバルナビです。
グローバルナビとは、webサイトのトップにある目次のことですが、多くの企業のホームページでは6〜8個程載せていることが多いです。
しかしキーエンスはたったの5項目しかのせていないのです。
何故ならばキーエンスは要素が増えれば増えるほど消費者がタイトルをクリックしにくくなるという事を理解しているからです。
例えば、1日のタスクを計画したとして、掃除、勉強、片付け、銀行にお金を振り込む、料理、くらいなら時間配分をしてまだ実行しやすい分量です。
しかしそれに読書、犬の散歩も加わったらどうでしょうか。1日やらなければならないタスクが多すぎてゲンナリしてきますよね。
このように人間は覚える事や飛び込んでくる情報が多くなればなるほど集中力を喪失してしまいます。
キーエンス ほどの大企業になればCSR情報や企業理念などサイトに載せたい情報はありあまるほどあると想定できます。
しかしその中でどこまでもユーザー目線に立ってグローバルナビを5個に絞っているということが重要なポイントです。
そして最後に、サイト内での言葉遣いのフランクさです。一般的に不特定多数の人が閲覧するようなサイトにはフォーマルな言葉だけで作られることがほとんどです。
しかしキーエンスはそこであえて言葉を崩して商品の紹介をしています。
例えば、工場内でのミスの発生原因を説明する記事では、発生するうっかりミスの事を「ポカミス」という言葉で表現しています。
工場などの生産ラインで、うっかりミスは命に関わる事であり最小限に抑えなければならない事です。
そしてその発生原因は作業者のうっかりミスであることが多くあります。
そのような小さなミスをしばしばポカをした言いますよね。
そこで敢えてキーエンスはユーザー目線に立って「ポカミス」という表現をしているのです。
このように普段から使っている用語を使うことで、堅苦しくなりがちな記事に親近感をもてますよね。
このように言葉の使い方もユーザー目線に立って使っているところにポイントがあります。
セールスを自動化するキーエンスのマーケティング② 資料の豊富さ
キーエンスのセールスの自動化を支えている2つ目の要因が、各商品に付随している説明資料の豊富さである。
キーエンスは徹底的に技術資料にこだわっていると言えます。
キーエンスほどの大企業がこだわっているのですからこの背景には必ず理由があります。その理由とは資料を徹底すればする程、成約率が上がるからです。
それは人間が行動する際に最初に行うのが調査だからです。
例えば何か新しいパソコンを買う事にします。パソコンは安くても10万円程度はする大きな買い物です。
パソコンを買う際にまずはじめにする事は何でしょうか。
まずはじめに行うことは、調査です。
このパソコンが持っている機能は自分の求めているものと一致しているのかどうか。
壊れやすくないか。
他のパソコンと比べて何が良くて悪いのか。
高いお金を出して失敗しないために、少しでも多くの情報を得ようと必死になりますよね。
この時に、もしも自分にとって必要な情報が見つからなかったらどうでしょうか。
例えば耐久性を知りたいのに、その情報がない。
〇〇というアプリを使いたいけれども、使えるかどうか情報が見つからない。
このような時、それでもその商品を買いたいとおもうでしょうか。
おそらく多くの場合は他のパソコンを買う検討をすると思います。
このように情報を充実させることは制約に大きく関わってくるのです。
webサイトから電話をかけたり、お店に行って商品を選ぶのは少し抵抗感があるときがありますよね。それは、その商品の知識が全くないのにも関わらず営業が始まるという不安感があるからです。必要な知識をしっかりと提供できていれば自然と相手から、連絡がくるのです。
このような理由からキーエンスは資料提供を徹底的に行っています。
セールスを自動化するキーエンスのマーケティング③ 戦略的なメルマガ配信
キーエンスのセールスの自動化を支える3つの要因が、戦略的なメルマガ配信です。
一般的にメールマガジンは誰に対しても同一の情報を提供するというのがよくあるイメージです。
しかしキーエンスのメルマガ配信は違っていて、戦略的に行われています。
キーエンスの営業が獲得してきた情報をもとに、どんなメルマガを作れば効果的か会議をし、その上で配信をします。
さらに制約に繋がらなくてもそのユーザーの行動履歴をチェックし今は購入に至らなくても、未来の制約に繋げるための布石を打っています。
このようにメールマガジンの配信も戦略的に行い確実に効果的な施策を行っています。
このようにキーエンスはマーケティングを徹底的に行うことでセールスの負担を最小限に抑えています。
セールスマーケティングまとめ
以上セールスとマーケティングについて説明してきました。
簡単にまとめると、マーケティングは商品の企画から販売戦略、フォローアップまで一貫した戦略を立てる事が役割であり、セールスは商品の制約を行う事が役割である。という内容でした。
マーケティングもセールスもどちらも大切であり、違いを理解してお互いに補完していく事が大切です。
この記事を通して、少しでもマーケティングとセールスの違いの理解が進むと幸いです。
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