PODマーケティングとは?差別化で成功する方法
マーケティング用語で「POD」という言葉があります。
この言葉は商品やサービスを顧客に提供するために非常に大切なマーケティング手法です。
PODマーケティングとは?Point of difference の略
マーケティング用語として使用されるPODは Point of Differenceの略です。
商品やサービスの付加価値、つまりブランド力で他企業や製品にはない自社独自のポイント・強みのことです。
一般的に使われる言葉としては差別化が多いですね。
PODマーケティングの意味
PODとは商品やサービスの独自性やオリジナリティを、購入する顧客へ打ち出すことによって競合他社との差をつけることです。
つまり他ではやってないことを自社独自で行って顧客に付加価値を届けるということです。
日常生活でいうと、異性からモテる人って何でモテると思いますか?
私はよく恋愛もののドラマや映画で王子様風イケメンを見ながら赤面してしまいます。
「こんな風にエスコートされたい!」とか「デートしてみたい!」とか様々シチュエーションでなあらゆる妄想を繰り広げています。
そして何度もそのドラマを見返し、その都度キュンキュンしています。
俳優だけでなく一般的にモテる人は、顔がかっこいい、かわいい、背が高い、スタイルがいい・・いろいろあると思います。
性格だと優しい、活発、ポジティブなどモテる人には様々な潜在能力が秘められていて、それらが重なり合うことで魅力ある人に見えるのです。
モテる人とデートしたら、またすぐにでも会いたいと思うはずです。
なぜそこまで異性を引き寄せることができるのか??
それはPOD『他者との差別化』を図っているのです。
顔がいいだけでは五万といる。
その中でも細やかなエスコートをしてくれる人はモテます。
過去に付き合ってきた男性とは全く違う世界に連れて行ってくれたり、全く違うシチュエーションを味わわせてくれたりすることでキュンキュンするのです。
つまりいままで経験したことのない、言われたことのないことを体験することで過去の男性と差別化を図り、素敵は魅力ある人だと思わせることができます。
このように考えると恋愛系の映画は差別化の連続です。
某映画の主人公は御曹司でドSな一面を持ちつつ、女性に対して細やかなエスコートとドストレートな愛を伝える役です。
この主人公のような人が世の中に溢れかえるように存在していたら、価値は薄くなり模範的になってしまいます。
一般的にはあり得ないシチュエーションで遭遇することのない王子様だからこそ、ドラマでは疑似体験できて世の女性たちを虜にするのです。
商品やサービスを同じ。顧客に対して経験したことのない体験を自社独自で味わってもらうことが差別化なのです。
PODマーケティングとは?同質化Point of Parity
PODの一方、POPという言葉も存在します。
POPはPoint of Parityの略です。
日本語では同質化ともいわれています。
意味はその商品やサービスにとってのオリジナリティではなく、他社と事実上共有される連想です。その商品を手に取ったとき他社製品と比べて同じ部分ということになります。
例えば、ペットボトル飲料のお茶。
近年健康ブームで「ヘルシア緑茶」や「特茶」が注目を浴びています。
健康体質な顧客向けの商品です。健康飲料ジャンルに進出してきたのが「お~いお茶」です。
「お~いお茶」は健康飲料ではなく一般的な清涼飲料ですが、このメインのブランドを変えることなく、サブブランドとして開発したのは「濃い茶」です。
「濃い茶」は高カテキン緑茶飲料でヘルシア緑茶や特茶に比べて安く販売しています。
健康志向が高い顧客は振り向きませんが、ちょっと健康意識がある顧客には「濃い茶」は適しています。
ヘルシア緑茶や特茶程高い商品を買う意識はないけれど「濃い茶」くらいなら安いし試しに買えるからです。
伊藤園は差別化を図らずあえてヘルシアや特茶と同質化することで、「濃い茶」=健康飲料 というイメージが顧客の頭の中に描かれ、購入につながるのです。
缶ビールでも同じです。
缶ビールが店に陳列してあるだけで、アサヒでもスーパードライでも「これは缶ビールだ」と即座に認識できます。
例えば、缶ビールのコーナーに突如おしゃれなイラストが入ったクラフトビールがおいてあったらいかがでしょうか?
最初は「ん?これビール?」とその商品がビールかどうか確認するところから始まります。
この手間を省いたのが同質化 POP なのです。
同質化することはパクっているわけではありません。
他社を模範することで、その商品やサービスの存在や価値を顧客に対して無意識に感じさせている1つのマーケット手法なのです。
PODとPOPが重なり合って商品は成立する
他社との差別化は企業にとってオリジナリティあるものになりブランド力も高まりますが、差別化だけで商品やサービスを提供すればいいというわけではありません。
あくまで共通ポイントは押さえておくべきなのです。
共通ポイントは顧客から「このジャンル(市場)として当然持っている資質」とみなされています。先ほど例に挙げた緑茶飲料のジャンルでは顧客が抱いているお茶のイメージ「苦味」「甘味」「清涼感」。
お茶と聞くだけでメーカー問わずイメージされる市場ブランドとも言えます。
競合他社との相違点ばかりでなく、類似点の機能もはたすことで好ましいブランドの価値が得られるのです。
共通ポイントを押さえた上でオリジナリティある他社との相違点を作り出すことによってブランドとしての価値につながります。そのブランドを買う理由ができるからです。
PODマーケティングとは?SWOT分析で差別化項目を知る
SWOT分析とは
strengths(強み)
weaknesses(弱み)
opportunity(機会)
thread(脅威)
の4つの項目から企業を分析し、未来の方向性や反省点を見つけることです。
このSWOT分析を適正に行うことで企業の独自性や強み、競合他社や弱みが見えてきます。
これを商品・サービスを差別化する材料にするのです。
よく就職活動で「自己分析」という言葉を耳にします。SWOT分析は企業向け自己分析のようなものです。
自己分析ではまず今までの経験や考え方を洗い出します。
その後自分の性格を見つめなおします。
自分の強み(長所)や弱み(短所)を書き出していくのです。
弱みがあるからダメではなく、弱みを強みに変えたり、弱みを使って良い方向への別の力が働くようにしたりします。
そして自己分析をもとに自己PRを考えて、企業にアピール。面接で企業側と考え方がマッチすれば内定をもらえるのです。
就職活動はマーケティングと同じでは?と感じます。
以下のように就職活動をマーケティングに置き換えて考えてみました。
<<就職活動>> <<マーケティング>>
自分の価値や性格 商品やサービス
自己分析 SWOT分析
強み 独自性・差別化
面接 商品やサービスが顧客と出会う場
企業に貢献できること 顧客の悩みを解決できる商品・サービス
内定 顧客が商品・サービスを購入すること
就職活動に必要なのは、POD 差別化です。
同じような黒いスーツを着て同じ髪型をした就活生に紛れて、いかに自分のオリジナリティをだし他者には負けない強い何かをアピールできるかが肝心です。
数ある応募者の中から内定まで選ばれるためには他者とは違う「能力」が必要であり、それが会社で貢献できるかどうかを採用者は見ているのです。
以上のように就職活動を例にあげて、マーケティングをみてみるとSWOT分析をして
企業の潜在価値や弱み強み、競合他社を把握することが差別化する大前提となります。
客観的にみて企業の武器になる点を把握しましょう。
PODマーケティングとは?差別化するポイントを知るためには
同質性と差別化を持ち合わせた商品やサービスを打ち出すことが大切だとわかりました。
では差別化ってどうやってやったらいいの?の話をします。
競合他社との差別化で行き詰っている場合はこの手順を踏みます。
5W1Hで考える
まずは『だれを・何で・どのように』を考えます。
「だれを」はつまりターゲットです。ただターゲットといっても大きな枠ではなく特定のだれか一人まで思い浮かべることができるように具体的に設定します。
ターゲットを細微にわたって絞ることで訴求しやすくなります。
例えばクリスマスシーズンにケーキ屋さんで「ケーキいかがですか~??」と声をかけるよりも「クリスマスケーキいかがですか~??」と声をかけたほうがターゲットは絞ら、顧客にも伝わりやすくなります。訴求力が高まるのです。
PODマーケティング【何を】
次に考えることはターゲットがその商品やサービスを利用してどのような問題の解決につながるかです。
顧客は課題や不安、悩みを解決するために商品やサービスを利用します。
物欲が強い人がよくいますが、そういう方々は欲求を満たすためにはどうしたらいいか考えたのちその課題を解決するために物を買っているのです。
全ては顧客がいま悩んでいる課題の解決なのです。
何を解決させるを明確にしておかないと、ターゲットとアンマッチになってしまいます。
PODマーケティング【どのように】
ターゲットとターゲットが抱えている課題が見えてきたら、どのように解決するかを構想します。ターゲットに合わせた生活スタイルで訴求できるような販売方法を考えるのです。
PODマーケティング【物語のように訴求する】
顧客の心をつかむためには主観的に「これいい!」と思ってもらえるようにします。
そのためターゲットへ訴求する場合は物語を作るのです。
例えば先ほどのケーキ屋さん。
AとBでどちらが主観的によく感じるでしょうか?
A:当店ではケーキを販売しています。ぜひご利用ください。
B:当店では本日クリスマスケーキを入荷しております。
ケーキの種類は4種類でお子様向けのキャラクター使用です。
当店は21:00まで営業しております。
仕事帰りでケーキを買うお父様方にもお買い求めいただけます。
圧倒的にBの店のほうが主観的に良いと感じるのではないでしょうか?
ターゲットを「仕事帰りに家族へケーキを買うお父さん」と細かく設定することで訴求しやすくなりました。
実はここでも差別化を図っているのです。
A店とは違い、B店は営業時間やケーキの種類をターゲットに発信したことです。
同じ商品でも情報という付加価値をつけることで他社とのPODになるのです。
PODマーケティング【差別化の方法】
最後は差別化の具体的な方法です。
差別化する方法は3つあります。
PODマーケティング【商品そのものを差別化】
一般的にマーケティングではこの差別化が多いです。
他社よりも高性能であったり、デザイン性に優れていたりすること。
一見すればすぐに比較できる対象項目を他社より優れさせることです。
PODマーケティング【付加価値をつける】
商品・サービスで差別化を図るのではなく、提供後の付加価値で差別化する方法です。
例えばハウスメーカー。
ハウスメーカーのアフターサービスは各メーカーによって異なります。
アフターサービスを充実させることで顧客が自社を選んでくれる、つまり顧客にとって価値のあるものになるのです。
また、Amazonは付加価値をつけて差別化に成功しています。
会員限定で即日配達をしたり、限定のセールをしたり、さらには映画やドラマ、本、雑誌まで読めます。
Amazonはこのように付加価値をつけることで顧客を取り組むことに成功したのです。
PODマーケティング【ブランド力】
シャネルやプラダといった高級ブランドはそれを聞くだけ、見るだけで差別化を図れます。
ネームバリューが世界に通用しているため、高級バッグや高級腕時計が売れていくのです。
ブランドとは「この製品は間違いないです」と保証しているのと同じです。
この保証を作りあげるには相当の時間がかかります。
PODマーケティングまとめ
PODは企業の強みやその時々の商品・サービスによって変えていくべきです。
ただ他社と異なるようにすればいいというわけではありません。
企業の強みや脅威をSWOT分析で適切に判断し、顧客がどのような課題を抱えているのか、どのように解決すると喜んでもらえるのかをイメージし構想を練ることで差別化するポイントが見えてきます。
また顧客が潜在的にイメージしている競争市場での同質性も欠かせません。
同質性を基盤にして差別化を図ることが最も顧客に伝わりやすいマーケティングです。
さらに差別化には商品やサービスそのものを他社と区別する方法がある一方で、付加価値をつける手法もあります。
近年日本企業は技術の向上に伴い、高品質な商品をだしてもすぐ他社に模範されてしまいます。ハード面で勝負するのは難しくなってきているのです。
これからは付加価値をどうつけていくかが差別化のカギです。
競合他社に模範されにくく、長期的に安定した商品やサービスは企業のブランド力にもつながります。
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