海外のマーケティング事情
グローバル化が叫ばれだしてもうずいぶんと経ちました。
海外出展に踏み切ったはいいけれど、日本でのマーケティングと勝手が違って上手くいかない、海外の文化や生活を研究して、独自のマーケティングで売り出して成功した、など様々な悲喜こもごもの話が聞こえます。
国が違えば文化が違い、文化が違えば考え方もそれに基づくマーケティング方法も変わってくるというもの。
今回は、現在世界で広く運用されているマーケティングの手法を紹介していきます
海外のマーケティング事情!何度も広告を表示させる、リマーケティング
リマーケティングとは、 あるサイトを見たユーザーに別のサイトでもそのサイトの広告を見せる手法のことです。
具体的な方法としては、サイトのソースコードに、そのユーザーがサイトに訪問したことを記録するコードが書き加え、ブラウザのクッキーにその情報を保存させます。
そして後日、そのユーザーが別のサイトを訪問した時、以前保存したクッキーの情報を元に広告を表示させるのです。
分かりやすく言いますと、何日か前にふらっと入ってみただけのお店の店員が、別のお店で「あの時うちのお店に来てくださいましたよね!またよろしくお願いします!」と声をかけてくるような感じです。
それも、何度も。
そのお店の商品を買うまで。
現実でやるとただのサイコストーカーですが、ネットの世界では今この手法がトレンドになりつつあります。
なぜリマーケティングが重要視されているのでしょうか。
それは、「ユーザーは広告との接触頻度が増えるほどCVR(ただの冷やかしが願客に転換する確率)が高くなる」という調査データがあるためです。
店舗販売の場合、顧客はなんらかのサービスや商品を求めて入店しているわけですから、一通り店舗を見て回り、気に入ったものがあれば購入し、他のいくつかの条件が合致しさえすれば常連客にもなってくれるでしょうが、残念ながら商品が気に入らなければ何も購入せずに立ち去り、それきりです。
しかし、インターネット上での商売の場合、多くのアクセスユーザーは商品ではなく、そのサイトに掲載されている商品の豊富さや値段の確認などの“情報”を求めて訪れるのです。
もしくは、何かの広告を誤ってクリックして立ち寄ってしまっただけか。
なんにせよ、目的が商品の購入ではないのですから1度や2度、何かのきまぐれか偶然でアクセスしただけのサイトで実際に商品を購入しようとする確率は極めて低いと考えていいでしょう。
ある調査では、接触回数が増えるほどCVRが上がっていき、最も低い接触回数は1回で1%、最も高い接触回数が6回。
その差は2.3倍もの差が出たという報告があげられています。
何故接触回数が多いほど、CVRが上がるのでしょうか。
そういった人の心理を心理学用語で、「ザイオンス効果」「単純接触効果」と呼びます。
スーパーに行くたびに聞こえてくる、「魚魚魚……」のあの歌、映画本編前に必ず流れてくる「ザッパーン」や「ドゥケドゥケドゥケドゥケ……」、最初はなんとも思っていなくても、何度も聞いたり見たりしているうちに口ずさむようになったり、「映画(スーパー)と言えばあれだよね」という共通認識になります。
ネットの世界でも同様に、最初はなんとも思っていなくても、回数を重ねるごとに「もう少し詳しく知りたいな」と思うようになり、「意外といい商品(サービス)じゃん」と好感度が上がり、最終的に顧客に転じてくれるようになるのです。
もちろん、ただ広告を流すだけではなんの意味もありません、
「ああ、また出たよ」とGoogleの「この広告を表示させない」ボタンを押されてしまうのがオチです。
質の高いコンテンツ、そしてリーディングページ(消費者が真っ先に読むサイトのページ)を作っていくこともまた、欠いたらいけない条件の一つです
海外のマーケティング事情!いいコンテンツとは
一言に「良いコンテンツ」「良質なコンテンツ」と言っても、具体的にどうしたらいいのか。何が良いコンテンツで何が悪いコンテンツなのか考えても分からないものです。
そこで、国内国外で話題になったユニークなコンテンツを紹介していきます。
海外のマーケティング事情!アニメA3!放送記念「MANKAIカンパニー」オフィシャルサイト
クリックした瞬間広がる懐かしい景色に、もしかして2000年代にタイプスリップしたのか??と思いたくなる秀逸なデザイン、亀吉(めちゃめちゃよくしゃべるオウム)に強制的に変換されるマウスポインタ、そしてソースコードに仕込まれた亀吉が話題になりました。
実はこれ、イケメン俳優育成ゲーム「A3!」のアニメ化を記念して作られた、ゲーム内に登場するキャラクターが作成した劇団ホームページをイメージして作られているのです。
メインターゲットである20~30代に響くデザインに、A3!ファンのみならず、その周辺でも「やばい懐かしい」「頭おかしい」「イケメンゲームでなんで昔を懐かしまないといけないんだよ」「マウスポインタを返して」など注目を浴びました。
海外のマーケティング事情!アメリカで一番読まれている病院ブロ「healthessentials」
クリーブランド・クリニックという、非営利医療団体の運営しているブログです。
頭痛や風邪など、日常の問題から癌の治療方法といった専門的な問題まで幅広く、かつ易しく解説している。
この易しく、がすさまじいのです。
医療系ブログといえば、教科書的かつ専門用語頻出でとっつきにくいイメージですが、記事のタイトルから「チョコレートナッツバーの作り方」「健康的な食事をするためのナビ」「尿の色で分かる健康問題」など、誰しもが興味をひかれるような工夫が凝らされています。
海外のマーケティング事情!RedBull
顧客中心マーケティングの究極形態とすら呼ばれているレッドブル。
商品自体を発信することは極めてまれで、発信しているのは主にアスリートやデザイナーが頑張っている姿や、そのストーリーです。
このアスリートやデザイナーを応援する姿勢が、ターゲット層である若年層に非常にうけているのです。
RedbullとGoProの2社がコラボレーションした「大気圏からのスカイダイビング」も、非常に注目を集めました。
これは両者のターゲット層が似ていることから実現され、世界記録を3つ樹立しました。
ターゲット層の年代の誰しもがびっくりして、そして「懐かしい」と笑ってしまうコンテンツ、様々な年代層の「知りたい」「教えてほしい」に真摯に答えたコンテンツ、そしターゲットの年代層と同世代のアスリート達を支援するコンテンツ。
これらは一見バラバラですが、純粋にターゲット層が大きな価値を感じてくれるコンテンツはどんなものかを突き詰めて考える姿勢には、共通するものがあります。
海外のマーケティング事情!企業への信頼と期待
消費者達が今何に興味を示しているのか、何を嫌悪しているのか、企業にどんなことを求めているのかを探っていくのも、マーケティングの重要な調査要綱です。
2017年、アディダスがある女性をモデルに起用したCMを公開し、賛否両論の騒動になりました。
「女のすね毛なんか見たくない」
「ありえない」
「女に媚びるのは良いけどすね毛だけはマジでやめろ」
という非難から、
「女はすね毛を処理しないといけないなんて誰が決めた?」
「ブチ切れてるやつらはこのCMのコンセプト知ってるのか?“多様性”だぞ」
「彼女は我々に勇気を示した。彼女はヒーローだ」
という称賛の声まで多数上がりました。
元々、このCMは多様性を訴えたもので、化粧をして派手な服を着た男性から、男性的なメイク(濃く、太い眉毛・本来の肌の色に近い色の口紅など)と服を着た女性など様々なモデルを起用していました。
様々な批判が浴びせられたこの件ですが、アディダスもモデルも一切引かず、
「女性らしさの基準、美の基準に疑問を訴えている」
「今の社会は、「らしさ」におびえている」
と声明を出しています。
多くの人々がその強い姿勢に共感した結果か、その時のアディダスグループの決算結果は増収増益と良好な結果を残しています。
同じスニーカーブランドとして有名なナイキも、2018年に人種差別に関連した広告を出しています。
当時、アメリカで頻発していた警察による黒人への暴行事件に異を唱え、NFLの国歌斉唱時に国歌を歌うことを拒絶したフットボール選手をCMに起用したのです。
フットボール界から事実上干されていたこの選手を起用したことによって、批判と賞賛が殺到、一時期は株価が下落するも、次第に評価が見直され若者を中心に大きな支持を得たのです。
海外のマーケティング事情!ナイキの企業メッセージである「Just Do It」
「さっさとやれ」
「とにかくやってみろ」と
いう力強いメッセージと、自分の信念を貫いたフットボール選手の生きざまが合致し、成功をつかみ取ったのです。
この2社は、それぞれ女性差別と人種差別に鋭く切り込み、批判を受けてもそれを毅然とした態度ではねのけ、支持を得ました。
しかし、もしもこの2社の重役がそれぞれこれらの差別を擁護・支援していたとなったらどうでしょうか。
たちまちそれまで賛同してくれていたはずの顧客も、一緒になって批判を始めるはずです。
(もちろん、そのようなスキャンダルは発生していません)
顧客・消費者は、企業が発信する“体制や商品に関する情報”が正しいかどうかを常に判断したいと考えています。
それは、社会的な問題に対する姿勢でもありますし、自社製品のPR宣伝やキャンペーンの内容の矛盾のなさや、正確さでもあります。
例えば何年か前に、あるファストフード店が「コーラを2リットル購入したら、そのうちの何割かを糖尿病患者への支援に使用します」という旨のキャンペーンを行いました。
普通に考えれば、糖尿病患者・糖尿病予備軍の増加は世界的に見ても解決していくべき問題で、ファストフード店がその支援をするというのは、健康志向の顧客を引き込むのに悪くない戦略であると考えられます。
しかし、このキャンペーンは、顧客からの「糖尿病支援つってんのにコーラ買わせて糖尿病患者増やしてどうすんだよ」という批判から失敗に終わります。
キャンペーンの内容にある矛盾を、顧客に突かれてしまったのです。
「環境に優しく、社会貢献も行い、チャリティにも積極的です」という企業のうたい文句は今やかなり使い古されていて、消費者はその先にある物を求めています。
というか、消費者のほとんどは生産者でもあるのですから、これらのうたい文句がたいていの場合において「休みや給料や勤務時間など、従業員の何かしらを犠牲にしたうえで成り立っているサービス」だということを理解してしまっているのです。
前述しましたが、現代の消費者は企業におためごかしや耳障りのいい言葉ではなく、真に誠実な態度であることを望んでいます。
日本でも、大手口コミサイトに登録する企業ががサクラを雇いわざと自社にとって都合の良いレビューを書かせたり、都合の悪い口コミを「荒らし」として削除要請するケースが問題になっています。
そういった隠蔽やねつ造は最初は上手く機能してくれるでしょうが、そう長く続くものではありません。
今はSNSやブログなど、個人の感想をつぶやく場所はいくらでもありますし、顧客数が増えれば増えるほど「本当の評価」は瞬く間に広がっていきます。
では、どうすれば一度落ちてしまった信頼を回復し、顧客に「信頼性が高い」と思ってもらえるのでしょうか。
問題が発覚する前に「問題が起こってしまった」と発表し、その自社製品を回収する(リコール)。
健康被害など、自社製品の持つ問題に真摯に対応し、それらすべてを顧客に公表する。
アンケートを取り、その結果に応じた商品開発を行う。
商品をより使いこなすためのアドバイスや注意点、その他周辺機器などの事細かな情報発信。
など、方法は多岐に渡ります。
海外のマーケティング事情!まとめ
様々な心理学的要素から、時事的要素まで消費者の興味を引くキーワードは多岐に渡ります。
心理学的要素であれば、よほどのことがないかぎり利用していくことも可能ですが、時事的な要素はそうもいきません。
5年前まではとても受け入れられなかった思想が、現代であれば受け入れられることもあれば、10年前までは受け入れられていた思想が、今ではとても受け入れられるものではなくなっていることも、もちろんありえます。
前述した、フットボール選手も現代ではなく60年代に同じことをしていたらただの変人と呼ばれてそのままフットボール界から消えていたことでしょうし、00年代に“多様性”をテーマにしたCMをしようものなら賞賛の声は批判の声にかき消されていたはずです。
社会情勢を幅広い視点で見渡し、ターゲットにしている層がどんな情報を普段から取り入れており、企業にどんな姿勢を求めているのかを調査していくことが重要です。
また、消費者は、企業に多角的な視野だけでなく信頼性も求めています。
消費者が企業が発信する情報だけでなく、SNSや口コミサイトなどの口コミからの情報と絡めて信頼性を推し量っていることから、企業は簡単な商品情報だけではなく、様々なメディアを通じて発信されるような“ユーザーにとって役立つ”情報を発信していかなければなりません。
皆さまの会社のサービスをユーザーが実際のところどのように思っているのか、改めて自社の透明性について考えてみると良いかもしれません。
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