設定がズレれば結果はゼロかも?!‥‥カギを握るのは「ペルソナ」!!!
「ペルソナ」とは元々「仮面」という意味ですが…マーケティングでは「架空の典型的な顧客」という意味を持ち、大変重要な役割を果たしています。
「ペルソナ設定」とは「商品等の企画から販売まで…一貫した戦略を練るために一人の架空の顧客を作り上げること」をいいますが…この「ペルソナ設定」は…新しく商品等を開発する時に用いられることがよくあります。。
ペルソナはターゲティングに似ていますが…「ターゲティング」が大まかなくくりであるのに対し…「ペルソナ」はもっと細かく設定されます。
「ターゲティング」が「海の魚」だとすれば…「ペルソナ」は「真鯛」…こうなります。
でも…「現代社会でマーケティングを行うのに…何故わざわざ架空の顧客が必要なのか?」…ちょっと疑問に思いますよね?
「相手の気持ちになって考えなさい」…小さい頃…ケンカをすると親や先生からよくこう言われました。
マーケティングも同じです。
消費者が「欲しい」と思う商品を提供しなくては結果は得られません。それには消費者の気持ちを知ることが大切です。
ターゲティングは大まかなくくりで進められるので…例えば「対象とする顧客は40代女性」…こんな感じで進められます。
例えは…ちょっと失礼かもしれませんが…この「40代女性」を「おでんの具の練り物」とします。
しかし練り物といっても「ちくわ、はんぺん、ウインナー巻き…」と色々あるように…「40代女性」といっても「40才」と「49才」では考え方に違いがあるでしょうし…家族構成や職業の違い…趣味や性格によっても製品やサービスに対して求めるものが違ってくるでしょう。
そこで対象とするターゲットの中に詳細な設定をほどこした典型的な顧客を一人架空に創り上げ…その顧客が「これなら欲しい!!!」と思えるような製品やサービスを生み出していく…そのために架空の顧客「ペルソナ」が必要となってくるのです。
「ペルソナ」を設定する時に必要な項目
・年齢
・性別
・居住地
・職業
・性格
・家族構成
・趣味
・ライフスタイル
・収入
・インターネット利用状況
・所有しているデバイスの種類
このように「ペルソナ」には細かな設定がほどこされます。
そしてこの細かな設定は対象とした顧客にピッタリと合ったものでなければなりません。
アンケートやインタビュー…既に公開されている資料…Web上でのアクセス解析…これらを基にペルソナは設定されていきますが…先入観等を入れず…無意識の内に設定する側にとって都合のよいものにならないように注意することが必要です。
・「ペルソナ」を設定してみる!!!
一般的に考えて…時間的、経済的に一番ゆとりがあるのは「退職したサラリーマン」です。企業側としてはこの層に関わって行きたいもの…そこで架空の人物「退職したサラリーマン 室谷 忠雄」という男性を「ペルソナ設定」してみます。
・氏名 室谷 忠雄(ムロタニ タダオ)
・年齢 65才
・性別 男性
・居住地 京都市
・職業 地方公務員
・性格 真面目 人付き合いが苦手で友達が少ない
・家族構成 配偶者(61才、パートタイマー、行動的、社交的、友達も 多い)と二人暮らし
息子二人(36才,32才)は独立し、遠方に居住
長男には配偶者と3才の息子がいる
・趣味 園芸、読書
・ライフスタイル 6:30頃起床、23:00頃就寝 朝夕近くの公園を散歩、 玄関先の植物の手入れが日課
・収入 (年金) 月額146,000円
(貯蓄)19,000,000円 (含退職金)
・インターネット利用状況 ニュースや園芸についての検索を一日に一 時間~2時間程度
・所有しているデバイスの種類 パソコン、携帯は所謂ガラケー
この「室谷 忠雄さん」の一日を考えてみます。
『室谷 忠雄さんのある一日』
朝6時30分頃に忠雄さんは起床します。
玄関のポストから新聞を取ってくると奥さんがキッチンで朝食の用意をしています。
朝食の用意ができるまで、忠雄さんはリビングで新聞を読みます。
奥さんの「できましたよ」の声でキッチンに行き、トーストとサラダと目玉焼きの朝食を摂ります。
忠雄さんはどちらかというと和食が良いのですが、トーストの方が手間がかからないようなので…黙って食べます。
食事が終わると朝のNHKニュースを見て、その後新聞の続きを読みます。
新聞を読み終わると玄関へ行き、鉢植えの植物に水をやり、手入れをします。
植物の手入れが終わると忠雄さんは公園まで散歩に出かけます。
いつものように道沿いの家々の植木や鉢植えを楽しみながら歩き、公園ではお気に入りのベンチに座って木々や花々を眺めます。
公園から帰って来ると奥さんが外出するところです。
社交的な奥さんは今日友達とお出掛けで、夕方まで帰ってきません。
忠雄さんは昼食まで園芸の本を読みます。
奥さんが作っておいてくれた昼食を摂り、リビングでお昼のNHKニュースを見ていた忠雄さんですが…いつの間にかついウトウト…。
暫くして目が覚めた忠雄さんはパソコンの電源を入れ、ネットで次の季節の為に植える植物を探し、園芸関係の記事を読んだり、気になるニュースを検索したりします。
夕方…奥さんが帰宅し、夕食の用意をする間…忠雄さんはテレビのニュースを見ます。
夕食後、奥さんが「孫の動画がスマホに送られてきた」と言い…奥さんの携帯で孫の動画を見せてもらう忠雄さん。
その後、テレビを見ながら奥さんと今日一日の出来事を話し…入浴して…ベットで読書をした後…23時頃に眠りに就きます。
架空の人物「室谷 忠雄さん」は…
・現役時代は仕事一筋
・友達は少なく、行動的ではない
・奥さんはパートタイマーで、友達も多く行動的
・日中は一人で家にいることが多い
・園芸が好き
・家事は奥さん任せ
・孫は可愛い
・パソコン等を使うのが苦手
・貯蓄は少なくはない
・室谷 忠雄さんの『これだ!!!』
「室谷 忠雄さんの心を揺さぶるキーワード」‥‥その①
『家庭菜園』
ゴルフ、テニス、囲碁、将棋…もし忠雄さんがそんな趣味を持っていたら…退職後、一人で家にいることはなかったでしょう。
退職して時間ができたからといっても、人付き合いが苦手な忠雄さんが急に何処かの集まりに参加して、何かを始めるのはなかなか難しいこと。
仕事一筋でやってきた退職したサラリーマンにはよくある話ですよね。そして「退職後…旦那が一日中家にいる…(三食きちんと作らなければならいし…面倒、うっとおしい…)」…これも世の奥様方からよく聞こえてくる話です。
「人付き合いが苦手」「真面目」「園芸が好き」「時間がある」…こんな忠雄さんの「心を揺さぶるキーワード」は「家庭菜園」です。
小さな農業…家庭菜園は一人でできます。
人付き合いが苦手な忠雄さんにはピッタリです。
農作物を作るには根気が必要。真面目に丁寧に世話をしなければ良いものはできません。
そして何より植物が好きでなければ話になりません。
忠雄さんには時間があります。
時間があるということは鉢やプランターで小さな野菜を育てるベランダ菜園ではなく…何処かに土地を借りて本格的な家庭菜園を始めることができるということです。
本格的に家庭菜園を始めようと思えばそれなりに準備が必要…いきなり種をまくことはできません。
家庭菜園を始める第一歩は土作りですが…昔の農業のように腕を振り上げ鍬で耕す…なんて無理ですよね。
慣れないことをすれば整形外科のお世話になってしまうことになるかもしれません。
そこで活躍するのが「ミニトラクター」です。
「トラクターを使うなんて家庭菜園の規模を超えてる!!!」と思われるかもしれませんが…家庭菜園用の極小さなトラクターがあるんです。
価格も数万円からとお手頃。
このトラクターは女性でもヒョイと持ち上げられるほどコンパクトで軽量なので…最初の土作りの時にだけ軽トラをレンタルすれば簡単に本格的家庭菜園の第一歩が踏み出せます。
近年地方では人口減少が続き…空き家が増えています。
農業も後継者不足で耕作放棄地も増加しています。
そんな地域では行政等が窓口になり、空き家と家庭菜園用の農地をセットにして低価格で貸し出すというサービスを行っているところもあります。
何事も「楽しい」と思ったら規模を大きくしたくなるものですよね。
釣りが楽しいと思ったら良い釣竿が欲しくなりますし、キャンプが楽しいと思ったらキャンピングカーを購入することもあります。
家庭菜園も楽しいと思えばそんなサービスを利用して家を借り、必要な農業機械を揃えて農作物を育てる…そんな生活を始めることもあります。
家にずっといたうっとおしい旦那が楽しそうに出掛けて新鮮な野菜を持って帰って来る…奥さんも「ニッコリ」でしょう。
一緒に出掛けて共に農作業…なんてこともあり得ます。
世の中…お財布を握っているのは大抵奥さんですから…奥さんと二人で家庭菜園を楽しむようになれば…そこに関する支出も多くなります。
人間関係に気を遣うこともなく…誰の顔色をうかがうこともなく…ちゃんと世話をすればちゃんと育つ…退職したサラリーマンには家庭菜園をしてみたいと思う人が多いそうです。
家庭菜園用の農業機械、農業資材…そのマーケットが「定年退職後のサラリーマン」にはあります。
「室谷 忠雄さんの心を揺さぶるキーワード」‥‥その②
『料理』
忠雄さんは退職後、基本的に家にいます。
奥さんはパートで働いていますから、忠雄さんと奥さんの立場は「働く」という点では逆転した訳です。
奥さんは毎朝家事をこなしてパートに出ます。
忙しそうな奥さんに忠雄さんは「朝食はご飯がいい」とは言えません。夕食もパートから帰ってきた奥さんが作ります。
家事にパートに…忙しそうな奥さん…一日中家にいる自分…真面目な忠雄さんはふと思います…「自分が料理できれば奥さんも楽になるよなぁ…自分でできれば朝もご飯と味噌汁とか食べられるし…」と…。
平日はパートで忙しく、休日は友達とお出掛けしたり…何かと忙しい奥さん…「料理を教えて」と言っても「私がした方が早いから、しなくていい」と言われそうです。
この「私がした方が早いから、しなくていい」という台詞…これは私が妻によく言われる台詞です。
日頃し慣れていないことを私がすれば…その後始末で妻の仕事が増える…そりゃ…嫌ですよね。
「しなくていい」って言われるはずです。
では何処で料理を習えばいいかというと…料理教室です。
共働き夫婦が増えたことと高齢者が老後に一人残された場合を想定して受講希望者が増え…近頃は男性の為の料理教室も珍しくありません。
世の奥様方にとって毎日の食事はただの料理…でも料理というものを習い始めた男にとって自分の作った料理はただの料理ではなく「作品」なのです。
絵画教室に通いだした子供が作品の絵を額に入れたがるように…男は自分の作った料理をそれに合った皿や器に盛付したいと思います。
器だけではありません…料理には道具が必要です。男はまず形から入ろうとするところがあって…自分はまだ初心者なのにやたらと色んな種類の包丁を揃えたがったり…ブレンダーやフードプロセッサー等のキッチンツール(業務用みたいなシャープなデザインのもの)を揃えたがったりします。
そして料理を作るにはレシピが必要です。男性を対象とした料理本もありますが、ネットを覗けば多種多様なレシピを見ることができます。
何事についてもそうですが…今迄やっていなかった何かを始めるということには何かしらの消費が伴います。
料理教室、器、キッチンツール、料理本…室谷 忠雄さんが料理を始めるとなるとこれらが必要とされると考えられます。
「室谷 忠雄さんの心を揺さぶるキーワード」‥‥その③
『孫』
孫の持つ力は絶大です。
苦虫を嚙み潰したような顔をした高齢者でも孫にはメロメロになる人が多いですよね。
そして孫に関して消費を惜しまないのがじぃじばぁばです。
じぃじばぁばは健康に気を付けます。
勿論可愛い孫の健康にも最大の注意を払います。
価格は跳ね上がってもおもちゃは木製で天然オイル仕上、ベビー椅子も同様です。
ベビー用のタンスもメープルの無垢板を使ったオイル仕上‥成長して学習机が必要になっても最優先されるのは「安全・安全」です。
その次に重視されるのが「デザイン性」や「使い勝手」…経済的に余裕がある「退職したサラリーマン」にとって「価格」はあまり大した問題ではありません。
それから忠雄さんが使用している携帯は「ガラケー」です。
息子は孫の動画をばぁばのスマホに送ります。
忠雄さんのガラケーでは息子から送られてくる孫の動画をみることができません。
世のじぃじばぁばのスマホの待ち受け画面には大抵孫の写真が使われていますよね。
パソコンやスマホが苦手な忠雄さんも…息子から送られてくる孫の動画をみる為に、ガラケーからスマホに変える決心をする可能性は大です。携帯ショップで高齢者がどの機種にするか迷っているとスタッフのおねえさんが「お孫さんがいらっしゃるんですか? お若く見えるからそんな風には見えませんでした。お孫さんがいらっしゃるなら…良いアプリがあるんですよ!!‥‥」と言いながらスマホを勧める光景をよく見かけます。
経済的にゆとりがある高齢者にとって「孫の為に」という一言は金庫の扉を開く鍵なのです。
・変化する可能性を持つ「ペルソナ」
新型コロナウイルスで「ステイ・ホーム」が叫ばれる中…思わぬ盛り上りをみせたのが「家庭菜園」です。
リモート出演の芸能人がベランダ菜園で育てている野菜がテレビ画面に写し出され…ネット上にも家庭菜園の画像が溢れました。
基本的に家庭菜園は屋外で行われる為「三密」にはならず…長期にわたる「コロナ休校」で、登校できず遊びにも行けない子供達と一緒に庭やベランダ…家庭菜園用の貸区画で野菜を育てる人々が急増しました。
ここで「家庭菜園入門」を果たした消費者がその楽しさにはまり…本格的な家庭菜園を始めることも十分考えられます。
「ペルソナ」は消費者の視点に立つ為に重要な役割を果たすものです。しかし消費者と「ペルソナ」の間にズレが生じてしまっては「ペルソナ」を設定する意味がありません。
「社会状況やその他の条件によってペルソナは変化する」…この考えを常に意識し…「そのペルソナは最適な設定なのか?」と確認していくとが大切です。
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